鼓月は戦後間もなく、京の町で産声を上げました。老舗のお菓子屋がひしめく京都において、「新参者」であったことが、逆にしがらみや既成概念にとらわれない新しい和菓子を生み出すもとになったのです。「鼓月」という屋号は、「打てば響く鼓に想いを寄せ、その名あまねく中天に響き、月にも届け」という社業発展を願う意味が込められています。
千寿せんべいが生まれたのは昭和38年のこと。新たな菓子を作ろうと機械を購入した際に、間違えてドイツ製の焼肉製造機を購入してしまったことをきっかけに、あえてナミナミの型を武器とする逆転の発想で創り出されたものです。波型のクッキー生地にクリームを挟むという、それまでの和菓子にはなかった斬新な素材と製法を用いて誕生したのが元祖本流の「千寿せんべい」です。
鼓月では、使用する素材を商品ごとに厳選しています。例えば、和菓子に欠かせない「餡」も、原料となる小豆を、その和菓子に最も相応しいものを求めて、日本中から探してきます。そして、その小豆を一つ一つ丁寧に選り分け、業界的にはめずらしく、自社内でほぼ100%をそれぞれの商品に合わせて炊き分けています。 鼓月の全ての商品に貫かれるこのこだわりが、お菓子づくりに対する私たちの気持ちなのです。
「お客様一人ひとりに、心から喜んでいただけるお菓子をお届けしたい」その想いが鼓月のお菓子づくりの基本となっています。そのために何よりも大切なのは、つくり手である私たち自身が、心から美味しいと納得できるものを作ることだと思っています。鼓月では、熟練した技術と経験を持つ職人が、原料を吟味し、一つ一つ丹精込めて作り上げています。
衛生面に充分配慮した設備の充実と、徹底した品質検査を行っています。原材料の入荷時における鮮度確認や製造ラインごとのきめ細やかな衛生管理を図り、お菓子の安定した品質と風味の実現に努めています。
本社には、最新設備のオリジナル生産ラインの工場を設けています。ここでは、機械で生産できるお菓子と、技術と感性を生かした職人による手作りのお菓子とに分けて、年間百種類以上のお菓子の製造が可能となっています。
私たちは、⾷品を扱う企業として、それぞれの職場において衛⽣管理を徹底するのは当然のこととして、清掃や整理整頓を⼼掛けています。それは、全従業員が⾃覚し、お菓⼦づくりに誇りと責任を持っている証しなのです。安⼼・安全なお菓⼦をお届けすることに全⼒を注いでいます。
京都の上質なおもてなしを感じさせるたたずまいの中に、新鮮な感覚を取り入れています。私たちは、お客様に心地良い空間をご提供できるよう、「伝統と新しさの融合」というテーマのもと、現在、全国に約70店舗を展開しています。
長い伝統に培われた京菓子。それは日本が世界に誇るべき文化の一つです。この文化を新鮮な時代の感性と融合させ、未来へと継承していく―――
これが今、鼓月の描いている夢に他なりません。
「夢のあるお菓子づくり」を通じて、豊かで新鮮な菓子文化を創造し、京都から世界へと発信していくこと。鼓月は大きな夢を形にすべく、これからも更なる飛躍への挑戦を続けます。
初めてクッキーを初めて作った時のことを思い出しました。オーブンに入れるまでは綺麗に仕上がっていたのに、焼き上がりが硬くて噛み砕くのが大変だったという記憶はあります。今思えば、市販のミックス粉を使えばもっと上手に作れたかもしれないのですが…。
――というのも、昔、自分がつくった硬いクッキーと比べるのもおかしな話ですが、軽い食感でサクサク砕ける「千寿せんべい」はどのように造られているのか不思議に思ったためです。
では何故「千寿せんべい」は口ほどけの良い食感に仕上がっているのでしょうか。ここで、千寿せんべいのヴァッフェル生地の美味しさの秘密を少しだけ解説してみましょう。
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- 原料・配合のこだわり
「千寿せんべい」専用に使われているオリジナルブレンドされた小麦粉を、鼓月では”千寿せんべい粉”と呼んでいます。
薄力粉と強力粉の違いがタンパク質の量の違いで、タンパク質の量が少ないものが薄力粉である、というのはご存知の方も居られるでしょう。
さらに薄力粉の中でも様々な性質に合わせて小麦粉の種類が分けられているので、実は一口に小麦粉と括るのは難しいのです。
“千寿せんべい粉”には、グルテン形成が少ない”宝笠”と”国産小麦粉”を独自配合でブレンドしています。グルテンとは、小麦粉のタンパク質からできる、粘りと弾力のある物質です。”千寿せんべい粉”はグルテン量が少ないのでサクサクした食感と口溶けの良さが得られるのです。
ヴァッフェル生地の中でこだわっているのは、もちろん粉だけではありません。脂肪分の違う複数のバターやショートニングを、口に入れたときの軽やかなサクサク感が実現出来る配合が計算され、ブレンドされています。
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「千寿せんべい」のヴァッフェルが織り成すサクサク感の秘密は製造工程にもあります。「千寿せんべい」の、口の中で脆く砕ける食感はバターの『ショートニング性』という性質が大きく表れています。この性質を遺憾無く発揮する為に生地の製造工程中の生地の温度にも気を配らなければいけません。
生地の温度が上がり、柔らかくなるとグルテンが形成されやすくなりサクサク感が失われてしまう為です。また、季節によって生地の状態が変わるので、いつも同じ食感になるよう、気候によって配合も都度、調節しています。
焼き加減もその日の温度・湿度・天候などによって火加減を判断しサクッと軽やかな生地に上がるよう常に気を配っているのです。
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上記に挙げたのは「千寿せんべい」のこだわりの一部にすぎないですが、美味しさの秘密に少しでも共感頂けたなら幸いです。このこだわりを知っているだけでも、クッキーを初めてつくった時の硬く焼きあがった失敗の理由が理解できた気がします。グルテンの性質に気をつけて家庭でまたクッキーをつくってみたいところですね。
「千寿せんべい」はこちら
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「オリジナル千寿せんべい」はこちら
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